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 吸血鬼の話-I want to make you.-


 片桐慎司は窓から射す太陽の光が心地好くてついうとうとしてしまった。それを見つけた教師がここぞとばかりに慎司を指名する。
「おい片桐、これ解いてみろ」
 慎司は黒板を見つめたが、わからなかった。
「わかりません」
「こんな問題も解けないのか。もう×××だ」
 教師はあまり丁寧でない言葉を発し、それから解説をした。慎司は真面目に聞いていた。
 そして、授業終了を告げるチャイムが鳴り、教師は解説を中断してさっさと教室から出ていった。すぐに担任が入ってきて、短い連絡をすると、日直に号令をかけさせた。
 慎司が荷物をまとめていると、宮瀬志穂が話し掛けてきた。
「慎司、少し時間ある?」
 宮瀬志穂は慎司の幼なじみでずっと同じクラスだった。普段教室で話す事はなかったが、今日はいつもとは違う雰囲気だった。
「別に構わないけど、どした?」
「ここじゃ話しにくいから、第四音楽室に来てくれない?」
「はぁ。なんでわざわざそんなとこで……」
「お願い……」
 志穂は真剣な目で懇願した。
「わかったよ。じゃあ、ちょっとしたら行くから」
「ありがとう。じゃあ、先に行ってるから」
 志穂は教室から出ていった。慎司はカバンを持って、教室を出た。
 慎司はまっすぐ向かわずに購買へ行った。そこで、消しゴムと缶ジュースを買い、音楽室に向かった。この学校では音楽室と呼ばれるものが五室存在する。第三、第四、第五は基本的に生徒に解放されていて、自由に使用する事ができる。第四音楽室は学校の端のC棟にあるので、滅多に生徒に利用されない。だから慎司はよくそこで、ピアノを弾いている。
 中庭を横切って、C棟の北側階段まで来たとき、階段下の倉庫から物音が聞こえてきた。普段そこは全く使われておらず、生徒も教師も誰も近づかない場所だったので、不審に思った慎司は倉庫の方へ向かった。倉庫の扉は何故か少しだけ開いていた。急にその中から悲鳴が聞こえた。その悲鳴は聞き覚えのある声……
「志穂か!」
 慎司は慌てて扉を開け、中に入った。中は薄暗かったが、黒い影が二つ見えた。急にその一方の影がもう一方を突き倒し、慎司の方へ走ってきた。慎司はとっさに飛びのいた。影は慎司のいたところで急に姿を消した。
「なっ……」
 慎司は目の前の光景が信じられなかった。暗がりで良く見えなかったものの、確かに存在はあったはずなのに……
 慎司が呆然としていると、奥でうめき声が聞こえた。慎司ははっとなり、慌てて志穂に駆け寄った。
「大丈夫か、志穂?」
 慎司は抱きかかえるようにして、志穂の上半身を起こした。


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