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「慎司……。慎司が助けてくれたの?」
 志穂はゆっくりと体を起こした。そして、立ち上がろうとして、バランスを崩して、慎司が抱きかかえた。
「志穂、とりあえず保健室に行くぞ。おぶってくか?」
「自分で歩けるから大丈夫!」
 志穂は慌てて慎司から離れるように立ち上がったが、少しふらついた。
「わかったから、慌てるなって」
 二人は倉庫から出て、保健室に向かった。保健室には灯りがついてなく、入り口に『不在』だという札がついていた。
「あちゃー、今日はいなかったか……。どうしよう、担任に頼んで開けてもらうか?」
「いいよ、だいぶ良くなったから、音楽室に行こう……」
「あ、ああ。ホントに大丈夫なのか?」
「うん、平気……」
 二人は再び来た道を戻り、遠回りになるがC棟の南側階段から最上階まで登って、第四音楽室に行った。二人は誰もいないことを確認してから中に入った。慎司はピアノの前にある椅子に志穂を座らせてから訊いた。
「あれは誰だったんだ……志穂は知ってる? ってそんなわけないか……」
 慎司は少し笑ったが、
「ううん、知ってるの」
 その志穂の一言で笑いは凍りついた。
「吸血鬼なの」
「は? 吸血好き? なにそれ」
「吸血好きじゃなくて、吸血鬼。Vampire」
「吸血鬼? 何で、っていうか、そんなのが現実にあるわけないだろ」
「私見たの! この学校の生徒の血を吸ってるところを!」
「ならその生徒が騒ぐだろ」
「血を吸われた人はその部分の記憶を失っちゃうみたいで、吸血鬼が立ち去ったあと、何もなかったように普通にしてるの」
「そうなのか……。でも、それは俺に言うんじゃなく、先生に言うべきだろ」
「先生に言っても、絶対に信じてもらえないから……。それでこの間、私の友達も襲われて……」
 志穂は急に俯いてしまった。
「よし、その吸血鬼を絶対に見つけてやる」
「え? ホント?」
「志穂を襲う奴は俺が許さない!」
――思わず言っちゃったが、恥ずかしいセリフだよな……。誰にも聞かれてないだろうな


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